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ball 今の学校教育は問題あり? ball



 つい最近、私の子供が通っている小学校で、創立100周年の記念行事がありました。
 その一環として、子供たちが創作した集団演技の発表会がありました。

 子供たちは、低学年、中学年、高学年の3つのグループに分かれ(全員参加です)、歌ったり、踊ったり、それはもう、楽しそうな発表会でした。
 驚いたのは、子供たちがすべて創作したということです。特に高学年のグループでは、オリジナル曲の作詞作曲まで、子供たちが手がけていました。その曲の出来具合が、とてもいいのです。
 曲の組立から途中のリズムの変調、叙情的なクライマックスまで、かなり完成度の高い作品だと言えるでしょう。

 日本の音楽界では、ここ何年か、若いアーティストたちが、CDの売り上げを独占しています。私自身も音楽が大好きなので、いろいろと聴いていますが、最近手に入れたCDは、若いアーティストたちのものばかりです。やっぱり、聴きたくなるような曲が多いんですね。
 音楽の感性という面では、若い人たちには、とても太刀打ちできないように思います。

 ここ数年、文部省は、「ゆとり教育」と称して、学習要綱を大幅に改定し続けています。偏差値至上主義時代に育った私たちから見ると、信じられないほど、簡単な内容になってしまっています。
 このことに対しては、多くの親や学者たちが警告を発しています。

 しかし、子供たちにとって、悪いことなのでしょうか。

 「勉強さえできれば、誰も文句を言わない」
 「勉強以外のことが多少できても、誰も認めてくれない」
 「何かにつけて、成績ばかり比較される」
 こんな風に感じながら子供時代を過ごした私たちの世代にとって、今の子供たちは、とても生き生きしているように感じます。

 勉強ができても、高学歴であっても、あまり意味のないことがだんだんと理解され始めました。
 仕事の面で言えば、しっかりとした実績が残せなければ、いくら頭が良くても、認められなくなってきています。要するに成果主義の考え方が広まってきたわけです。同時に、年功序列も、廃れつつあります。

 「一生懸命勉強して、官僚になって、いろいろな面でいい思いをしよう」、こうしたエリート・カルチャーは、終わりを告げたと考えてもいいでしょう。

 偏差値至上主義を生んだ学歴偏重思想は、もとはといえば、文部省などの官僚が作りだしたものです。

 子供時代に、ほかの楽しいことを犠牲にして、勉強ばかり続けていると、どうしても心がゆがんでくると思います。
 このような心のゆがみは、偏ったエリート主義を作りだし、勉強ができない人たちに対する差別意識を生み出します。
 この差別意識は、いろいろな面で、問題を起こしてきました。何年か前から続いている旧大蔵省、旧厚生省、最近の外務省の不祥事などを見れば、一目瞭然でしょう。

 官僚とは、公共のサービスを行うわけですから、高潔な自己犠牲の精神を持てなければ、勤まらないはずです。ところが、実際には、偏ったエリート主義に凝り固まっていたわけですね。
 こんな官僚たちが学習要綱を作れば、「勉強ができる人が一番偉い」、つまり「自分たち官僚が一番偉い」というゆがんだ学歴偏重思想が反映していても、当然だと思います。

 このゆがんだ学歴偏重思想は、中学生や高校生の短絡的で残虐な犯罪、いじめなど、深刻な問題となって現れてきました。
 文部省も、そうした問題を無視できなくなってきたのでしょう。

 ここ数年続いている官僚の問題の原点は、「官僚は、勉強はできるが、人間的に偏っていた」ということに、誰も気づかなかったところにあると思います。

 本当に頭のいい人にとって、学校の勉強なんて、どうでもいいものでしょう。
 グローバルな分野で活躍して、社会的な地位でも、経済的な面でも、官僚とは比べものにならないことを目指すと思います。

 自分を輝かすものが何もなくて、楽しいことも何も見つけられなくて、ただただ勉強にしがみつく。こうした人たちは、日本では、自然と官僚を目指すようになっていくような気がします。
 自分自身を肯定できるものが、勉強だけだったとしたら、何とも情けないと思いませんか。勉強ができたからといって、本当の意味で充実した人生を送ることができなければ、本末転倒です。

 官僚のなかにも、高い理想を持っていて、公僕として公共サービスに努めよう、こんな人たちもいるでしょう。しかし、次から次へと暴かれる官僚の実態を見ていると、公僕として自覚のある人がいったいどれだけいるのだろうかと、情けなく感じてしまいます。

 「ゆとり教育」というのは、日本人の学習面での優秀さを、多少は損ねるかも知れません。
 でも、日本人にもっとも足りないといわれていた「独創性」は、少しは育まれるのではないでしょうか。

 そんなことを感じさせた、子供たちのすばらしい発表会でした。






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