Psystory

ball 第1節 サイストリー実践前の準備 (テクノストレス、コンピュータ嫌い、家族の理解)



テクノストレスとは
 サイストリーの実践では、基本的にパソコンが必要になります。

 パソコンやコンピュータと聞くと、すぐに嫌悪感を感じる人がいます。また、それとはまったく逆に、人間以上に強い親しみを感じるという人もいます。
 どちらにしても、パソコンやコンピュータに対して、なにか強い感情を持っているという人は、かなりいるのではないでしょうか。

 このような人たちが受けるストレスのことを、テクノストレスと呼びます。近年さまざまなところで採り上げられ、話題に上ることが多かったため、ご存じの方も多いでしょう。

 テクノストレスには、大きく分けて二つのタイプがあります。テクノ過剰適応型(テクノセンタード・タイプ)テクノ不安型(テクノアンキシャス・タイプ)です。

 テクノ過剰適応型というのは、コンピュータの世界に異常なまでにのめり込み、考え方や生活態度が、すべてコンピュータ化してしまうことです。
 一度こうなってしまうと、人間的なコミュニケーションができなくなってしまい、人間関係や家庭生活が破綻しやすくなってしまいます。

 原因としては、もとから人間関係を苦手とするような人が、コンピュータを使っているうちに、それですべて片づくと感じてしまうことが挙げられます。そうして、苦手な人間関係から逃避してしまうのです。

 サイストリーの実践に当たっては、テクノ過剰適応型の人は、問題にはなりません。
 コンピュータに対して抵抗感がないため、すぐにサイストリーの実践が可能だからです。

 人間関係を苦手としてしまう一番の原因は、前章第5節でお話ししたとおり、親に関する大脳辺縁系の記憶です。
 したがって、サイストリーの実践によって、親に関する大脳辺縁系の記憶を意識化していけば、人間関係に対する苦手意識がなくなってきます。
 そうして、いずれは人間的なコミュニケーションも、気楽にできるようになるはずです。

 テクノ不安型は、仕事などでコンピュータを使用しているうちに、肩こりや目の痛み、頭痛などに悩まされることから始まります。
 そうしてしばらく経つと、コンピュータに対して、あからさまに嫌悪感を感じるようになり、やがては立ちくらみ、不眠などの症状を訴えるようになってしまいます。

 原因としては、もとからコンピュータを嫌いな人が、仕事上どうしても使わざるを得なくなってしまうことが挙げられます。そのストレスが蓄積して、さまざまな症状が出てきてしまうのです。

 サイストリーの実践に当たって、テクノ不安型のストレスは、大きな障害になりかねません。
 コンピュータ自体が、ストレスの原因だと感じられてしまうからです。

 テクノ不安型の人は、どうしてコンピュータが嫌いなのか、その原因をよく考える必要があるでしょう。
 コンピュータというのは、ただの道具にすぎません。どうしてそれを嫌ってしまうのか、その原因を探る必要があるわけです。

コンピュータを嫌う本当の原因
 ここで少し、テクノ不安型に対する、私の考えをお話ししておきましょう。
 テクノ不安型のストレスの本当の原因は、コンピュータではありません。
 たぶん、自分よりうまくコンピュータを使いこなす人に対して、複雑な劣等感を持ってしまったのだと思います。

 テクノ不安型の人も、最初は一生懸命コンピュータに取り組んだはずです。しかし、どうしても思い通りに動かせなかったのでしょう。
 そんなときに、人間的にも仕事の面でも自分より下だと思っていた人間が、簡単に使いこなすのを見て、ショックを受けたのではないでしょうか。

 このような場合には、どうしても自己蔑視や自己否定に陥ってしまいがちです。

 本当は、コンピュータを使いこなすためには、それなりの努力が必要なのですが、その努力を怠っているということも考えられます。
 もしかしたら、自分は有能な人間だという強い思い込みから、大して努力しなくてもコンピュータぐらい使いこなせると、勝手に思い込んでいるのかもしれません。

 もちろん、コンピュータにも適性というものがあります。大して努力しなくても、すぐに使いこなせるようになる人もいます。
 しかし、それは仕方のないことです。コンピュータだけでなく、スポーツでもほかのどんなものでも、得意不得意があるからです。

 コンピュータに少し触れた程度で、うまく操作できなかったからといって、悩んだり苦しんだりする必要はありません。
 まして、コンピュータがうまく使える人より、自分の方が劣っているなどと考える必要などまったくありません。

 道具というものは、うまく使いこなすことに意味があるわけではありません。
 その道具を使って、なにをするかということに本当の意味があるのです。

 たとえば、もっとも一般的な道具である包丁について考えてみてください。
 包丁というのは、いくらうまく使いこなせたとしても、おいしい料理が作れなければ、なんの意味もありません。
 言い換えれば、包丁さばきが多少下手であっても、おいしい料理さえ作れればいいのです。

 包丁を使う目的は、料理を作ることです。したがって、包丁さばきが上達するかしないかは、個人差はありますが、どれだけの回数、料理を作ったかにかかっています。
 誰でも、最初はうまく使えません。それでも、料理を何度も作っているうちには、自然と上達してくるでしょう。コンピュータも同じことです。

 たとえば、いつでも自分の直感やカンに従って行動する人がいます。あまり物事を論理的に考えないタイプです。
 持ち前のおおらかさから人間関係を築くのがうまく、営業などの職種では、高い業績をあげることが多いものです。

 しかし、このようなタイプの人が、ひとたび人事異動でコンピュータを常時使用しなければならない部署に配属されたりすると、とたんに憂鬱になってしまう場合があります。
 人事異動がなくても、あるときからコンピュータの使用を強制されたりすると、やはり同じように憂鬱になってしまう場合もあります。

 コンピュータというのは、一つ一つきちんと順序立てて論理的に操作しなければ、うまく動いてくれません。その意味では、まったく融通が利きません。
 直感やカンに従って行動する人というのは、融通をうまく利かせられるからこそ、人間関係を簡単に築くことができるのでしょう。

 ところが、まったく融通の利かないコンピュータを相手に仕事をしなければならなくなると、自分の一番の武器を生かすことができません。
 したがって、苦痛だと感じても仕方のないことかもしれません。

 さらに、仕事の面では自分より下だと思える社員が、コンピュータを使いこなせることから、自分より有能だと認められたりすると、コンピュータを嫌悪するようになっても不思議ではないでしょう。
 しかしそんな場合には、それまでの見方を変える必要があります。

コンピュータ嫌いの克服
 コンピュータを使いこなせることだけで、有能だと認められるわけではありません。
 コンピュータを使いこなせることによって、さまざまな情報を整理でき、業務を効率化できるから有能だと認められるのです。

 同様に、人間関係をうまく築けるから、有能なわけではありません。その人間関係を使って、より多くの仕事をこなすことができるから、有能なのです。

 その意味では、コンピュータを使いこなすことも、人間関係をうまく築くことも、同じようなものです。
 確かに両者とも、仕事をしていく上での武器になることは事実ですが、そのこと自体に、有能だと認められる価値があるわけではありません。

 したがって、コンピュータをうまく使えないからといって、自分自身を責める必要はまったくありません。
 また、人間関係をうまく築けるからといって、優越感を持つことも無意味なのです。

 そんなことに神経を使うよりも、少しでもコンピュータの操作を覚えることに集中した方が、はるかに建設的です。

 いつまでもコンピュータを毛嫌いして、無意味な優越感にしがみついていると、苦しいことばかりです。
 テクノ不安型のストレスが蓄積してくると、さまざまな病気にかかりやすくなります。
 病気にならない場合でも、すべての気力を失って出社拒否などということにもなりかねません。

 ここまで、テクノ不安型について長々とお話ししてきましたが、コンピュータを嫌う理由について、おわかりいただけたでしょうか。

 コンピュータは、ただの道具にすぎません。そして、人間を相手にするのとは違い、融通が利かないものです。
 さらに現代では、コンピュータを使いこなすということが、仕事をしていく上での武器にもなり得るのです。

 これらのことをよくご理解いただけば、いたずらにコンピュータを嫌悪しなくても済むでしょう。

サイストリー実践で必要なパソコンの仕様
 さて、サイストリーの実践では、基本的にパソコンが必要になるわけですが、もうパソコンはお持ちでしょうか。
 現在すでにお持ちなら、それを利用していただきたいと思います。

 もし、パソコンの経験がなく、これから買って始めようという方は、初心者向けのパソコンを店員に選んでもらったほうがいいと思います。サイストリーの実践は、現在販売されている機種なら、型落ち品などの一番安いものでも充分すぎるくらいです。

 その場合、気をつけていただきたいのは、ワープロ・ソフトの選定です。
 身近にパソコンに詳しい人がいる場合には、その人が使っているワープロ・ソフトと同じものを選んでおいた方がいいでしょう。そうすれば、わからなくなったとき、気軽に教えてもらうことができます。

 さて、ここから少しのあいだは、パソコンの経験があり、ある程度の知識をお持ちの方を対象に、お話をさせていただきます。
 初心者の方は、少しのあいだご辛抱いただくか、おわかりになるところまで、読み飛ばしていただきたいと思います。

 サイストリー実践のためには、最新型の高価なパソコンは必要ありません。
 すでにお持ちの場合、買い換えが必要だと思われるような旧タイプでも、サイストリーの実践は充分可能です。

 サイストリーでは文字だけを扱うため、現在のグラフィック処理中心のパソコンだと、性能が高すぎるほどなのです。

 実際に、サイストリーの実践に必要なパソコンの仕様をお話ししましょう。
 PC‐AT互換機(DOS‐V機)では、プロセッサーがペンティアムまたはペンティアム互換で充分です。また、サイストリーで使用するハードディスクの容量は、せいぜい数メガバイト程度です。
 つまり、1995年後半の頃(ウィンドウズ95発売当時の頃)の仕様を持つパソコンなら、サイストリーは可能なのです。

 マッキントッシュの場合でも、ペンティアムと同等以上の性能を持つプロセッサーを搭載する機種なら、同様に可能です。

 サイストリーの実践を快適に行うためのコツは、古い機種なら古いバージョンのOS(オペレーティング・システム)やワープロ・ソフトを使うことです。
 最新バージョンのOSやワープロ・ソフトは、最新型のパソコンでないと、処理時間がかかりすぎて快適には使えません。

 ワープロ・ソフトを使うとイライラするという場合には、エディターソフトを使うことも考えてみたらいかがでしょうか。

 サイストリー実践で必要な機能は、古いタイプのワープロ・ソフトでも、エディターソフトでもすべて備えています。
 特にエディターソフトは、プロセッサーにあまり負荷をかけないため、古いタイプのパソコンでも快適に使うことができるはずです。

 パソコンをまだお持ちでない場合、格安の中古品を手に入れるという方法もあります。
 その場合には、もちろん中古品を販売しているお店から買うという方法もありますが、パソコンを比較的早くから始めた人が身近にいるのなら、一度使わなくなったパソコンはないか、聞いてみるのも一つの手です。

 現在では、古いパソコンを廃棄する場合でもお金がかかりますから、意外と簡単にゆずってもらえるかもしれません。

 ただし、いくら中古品が安く手に入るからといって、初心者やあまりパソコンに慣れていない人には、おすすめできません。
 パソコンを使用中に不都合が生じたとき、それを自分の力で解決できるくらいの知識と経験がない場合には、中古品に手を出さない方が安全です。

 これで、サイストリー実践の準備としてのパソコンに関するお話は、終わりにさせていただきます。もし、わかりにくいところがある場合には、身近にいるパソコンに詳しい人に、一度聞いてみることをおすすめします。

サイストリー実践の場所
 さて、実際にサイストリーを実践するためには、ふさわしい場所が必要になります。それについてお話ししましょう。

 一人住まいの方や、自分の部屋にパソコンを設置してある場合には、そこでサイストリーを実践すれば、なにも問題はありません。
 しかし、家族で1台のパソコンを共有していて、リビングなどに設置してある場合には、注意が必要です。

 サイストリーの実践中には、情動発生処理が起き、さまざまな感情が表れてくることになります。そのため、パソコンに向かってキーボードを打ちながら、涙を流すなどということも起こります。

 もしそのようなところを家族などに見られると、いろいろと心配をかけてしまうことにもなりかねませんし、下手をすると変人扱いされるかもしれません。そうなると、他者の要素が心の歴史に入り込んでしまいます。

 したがって、リビングなど、家族が来そうなところでサイストリーを実践するためには、時間帯や家族のそのときの状況など、充分な配慮が必要になります。
 サイストリーの実践中は、必ず一人きりにならなければなりません。そうでないと、守られた安全な空間が成立しませんし、他者の要素が心の歴史のなかに入り込んでしまうことにもなります。

 一番理想的なのは、自分一人が専有できる部屋で、自分専用のパソコンを使ってサイストリーを実践することです。

 しかし、住宅事情などさまざまな事情から、それが許されない場合もあるでしょう。
 そんな場合には、ノート型のパソコンを利用するという手もあります。

 ノート型であれば、サイストリー実践のチャンスを増やせる可能性があります。
 たとえば、家族で1台のパソコンを共有する場合でも、簡単に自分の部屋に持ち込んで使うことができます。

 さらに、どうしてもサイストリーを行う場所がないという場合に、ビジネス・ホテルに持ち込むということも可能です。
 まだパソコンをお持ちでなく、これから買おうとお考えの方は、ノート型のパソコンについても検討されてみるといいでしょう。

家族に理解を求める
 サイストリーの実践に当たって、理想的な環境が実現できない場合でも、家族の理解を求めるという方法もあります。
 たとえば、家族で1台のパソコンを共有している場合、あらかじめ邪魔に入りそうな家族に、サイストリーを理解しておいてもらうのです。

 もし、家族の理解を得られれば、サイストリーの実践は、ことのほか容易になります。
 たとえば、パソコンの前で涙を流していても、家族がその意味を理解していれば、その場面を目撃したとしても、そっとしておいてもらえるでしょう。それ以外にも、さまざまな協力を得られるかもしれません。

 さらに、家族にもサイストリーを実践してもらえたとしたら、これ以上の理解はありません。何度もお話ししたように、サイストリーは、一度実践すれば、すぐにその効果が実感できるものなのです。

 ただし、家族にサイストリーを理解してもらったり、実践したもらったりするのに当たって、気をつけなければならないことがあります。
 それは、今までその家族とどんな関係にあったかです。

 たとえば、敵対関係にあるような場合、なにかを頼んだり勧めたりすると、反感を招いてしまいます。その反感のせいで、かえってひどく邪魔されたり、サイストリー記述を無理矢理暴かれたりするかもしれません。

 家族に反感を持たれる怖れがある場合には、秘密にしておいた方がいいでしょう。
 そんな場合、ある時間帯のあいだパソコンと設置場所を占有することを、家族に承認してもらうという方法があります。

 そうして、秘密のうちに、サイストリーを実践してみてください。もちろん、パスワード機能などを使った秘密保持には、充分注意しなくてはなりません。

 いずれにしても、ある程度サイストリーを実践すれば、その効果が実感できるため、もっといい環境が欲しくなると思われます。
 そのときには、自由な心を獲得するためなのですから、精一杯努力することをおすすめします。

 さて、この節では、サイストリー実践前の準備として、パソコンに対する嫌悪の原因から、サイストリー実践に必要なパソコンの仕様、さらにサイストリー実践の場所の確保などについてお話ししてきました。

 もうこれで、サイストリー実践の準備は整いました。次は、いよいよサイストリー実践の神髄であるサイストリー記述について、具体的にお話ししましょう。






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