Psystory

ball (第3節の続き) (悪いことが重なったときの対処法、問題点の整理と解決策)



悪いことが重なったときのストレス・マネジメント
 ストレスの重複というのは、それぞれまったく別の原因を持ついくつかのストレスが、同時に発生している状態です。
 一つ一つは大したストレスではなくても、いくつも同時に重なってくると、ストレスの総量が大きくなって、押し潰されてしまう危険性が高くなってしまうのです。

 「悪いことには悪いことが重なる」とよく言われます。「泣き面に蜂」とか、「弱り目に祟り目」などということわざもあります。
 長い人生には、ときに、いくつかのストレスが偶然重なることもあると覚悟しておいた方がいいでしょう。

 そんな場合、きちんとストレス・マネジメントをしておかないと、心身を病んでしまうことになりかねません。
 その方法として有効なのが、サイストリー記述です。

記述例C (最初の記述)
メモ




私の心の歴史



 大変だ。とんでもないトラブルに巻き込まれた。まさか、あの発注先が倒産するなんて、まったく予想もしなかった。大至急ほかの発注先を探し出して、必要な資材を調達しなければならない。顧客に対しても、納入が遅れることを納得してもらわなければ。
 忙しい。しばらくは、徹夜も覚悟だ。

 この忙しいのに、私の子供が、いじめの加害者になっているらしい。すぐにでも被害者の子供の家に謝りに行かなければならないだろう。しかし、本当にそうなのか。子供に確かめたいが、時間がなくてそれもできない。

 本当は、私の妻に任せたいのだが、いつでも人のせいにして、自分ではなにもしようとしない。この件でも、私の帰りがいつも遅いから子供がいじめを起こした、などと言って私を非難するだけだ。被害者の子供の家に謝りに行くことも、最初から拒否している。

 ああ、本当に困った。こんなときに、弟夫婦が離婚するなどと騒ぎ始めている。前からもめていたのだが、とうとう本格化してしまったらしい。

 どうすればいいんだ。苦労して買ったマンションに、重大な欠陥があったらしい。だが、施工した会社はそれを認めようとしない。
 管理組合から、裁判を起こすための集会の知らせがきている。しばらくのあいだ、何度も集会に出席しなければならないだろう。

 このことも妻に任せたいのだが、引き受けてくれそうもない。
 忙しい、忙しすぎる。もう、手に負えない。どうしよう。どうしよう。
 この例では、相当にややこしい不幸が重なって起きています。どれも、すぐに対応しなければならないものばかりのようです。
 ストレスの総量も相当なものでしょう。
 
 もしなにもストレス・マネジメントをしなければ、心身を病んでしまう可能性が非常に高いと言えます。
 しかし、あまりにもいっぺんに悪いことが重なると、大脳辺縁系はひどい危機的状況だと判断します。当然のことながら、強い情動発生処理が起こり、前頭前野の活性が極端に落とされてしまいます。

 この状態のままでは、肝心なストレス・マネジメントでさえも困難です。
 しかし、そんなにひどい状況であっても、サイストリー記述を実践すると、前頭前野の活性が高まってきます。そうして、問題点が整理されてくると、それぞれのストレスの本当の原因や解決策が見えてくるはずです。

 たとえば、仕事上のトラブルは予想外だったにしても、家庭内の、特に妻との関係に以前から問題があったようです。
 そのせいで、子供が起こしたいじめの問題や、マンションの欠陥の問題まで対処しなくてはならなくなってしまったのです。

 まずは、妻との関係を考え直さなくてはならないでしょう。
 また、弟夫婦の離婚騒ぎは、よく考えて見れば、そんなに慌てて対処する必要はないでしょう。
 弟夫婦の問題は弟夫婦に任せておけばいいのです。

 仕事上のトラブルにしても、いろいろな人に協力を求めることができれば、徹夜の連続などという無茶な行動をしなくて済むかもしれません。
 無茶な行動を続けて体をこわしてしまえば、もっと大変な状況に追い込まれてしまいます。

 記述例Bと同じように、そうした点を踏まえた修正後の記述を見てみましょう。

記述例C (修正後の記述)
メモ

・出張でつぶれた結婚記念日
・接待で遅くなった妻の誕生日



私の心の歴史



 とんでもないトラブルに巻き込まれた。まさか、あの発注先が倒産するなんて、まったく予想もしなかった。大至急ほかの発注先を探し出して、必要な資材を調達しなければならない。顧客に対しても、事情を充分に説明しておかないと、後々トラブルの元になる。
 これから、しばらくは忙しくなるだろう。

 そうだ。同僚のCが懇意にしているD社に頼んでみよう。あそこの担当者なら、私も知っている。もしかしたら、納期に間に合うかもしれない。ほかにもいくつか当たっておこう。
 顧客に対しても、多少納期を甘くしてもらえるよう、頼んでおこう。八方手をつくせば、そんなにひどい遅れにはならないだろう。

 私の子供が、「いじめ」の加害者になっているらしい。すぐにでも被害者の子供の家に謝りに行かなければならないだろう。しかし、本当にそうなのか。とにかく子供に確かめることが先決だ。
 本当は、私の妻に任せたいのだが、いつでも人のせいにして、自分ではなにもしようとしない。この件でも、私の帰りがいつも遅いから子供がいじめを起こした、などと言って私を非難するだけだ。被害者の子供の家に謝りに行くことも、最初から拒否している。

 本当に困った妻だ。一体なんでこんなにも無責任になってしまったのか。確かに、このところ忙しくて、あまりゆっくり話したことがない。たまに話すチャンスがあっても、すぐにケンカになってしまう。
 私と妻がいがみ合っていれば、子供にとっては相当なストレスだろう。そのストレスが「いじめ」につながっているのかもしれない。そうなると、私にも責任がある。

 一度時間を作って、妻とゆっくり話し合ってみなければならない。いったいなにが気に入らないのか。もしかしたら、なにかと口を挟んでくる、私の両親が原因なのか。それとも、ただ単に寂しいだけか。
 ああ、そういえば、この前の結婚記念日に、出張で留守にしてしまった。そうだ、妻の誕生日にも、接待で遅くなったことがあった。あのとき、酔っていてよく覚えていないが、妻はかなり機嫌が悪かった。
 私にも、反省する必要があるようだ。
 子供の「いじめ」の件は、なんとしても、私が解決しよう。妻との話し合いは、そのあとゆっくりとしよう。
 弟夫婦が離婚するなどと騒ぎ始めている。前からもめていたのだが、とうとう本格化してしまったらしい。だが、二人とも大人だ。幸い、まだ子供はいない。もし離婚ということになっても、それはあくまで本人たちの問題だ。どうなるか、しばらく放っておこう。
 苦労して買ったマンションに、重大な欠陥があったらしい。だが、施工した会社はそれを認めようとしない。

 管理組合から、裁判を起こすための集会の知らせがきている。しばらくのあいだ、何度も集会に出席しなければならないだろう。
 このマンションは、妻が選んだ物件だ。この問題だけは、ハッキリと妻に責任を持ってもらおう。もし嫌がったとしても、とにかく、管理組合の集会にだけは、出席しておいてもらおう。あとは私がきちんとフォローしていこう。
 この修正後の記述では、かなり冷静な目で、それぞれの問題点を見つめ直していることがよくわかります。さらに、それぞれの原因とその解決策についても、ほぼ目安が立っていると見ていいでしょう。

 ここまできちんと記述できれば、もうストレスのせいで心身を病んでしまうようなことはありません。
 あとは、それぞれの問題を解決していくだけです。

 また、次に記述対象となる出来事も、二つ見つかっています。
 この二つの出来事を細かく記述していくうちには、妻との関係についても、もう一度深く見つめ直すことができるようになるでしょう。

 この例のように、いくつものストレスが同時に襲いかかってきたときでも、サイストリー記述を実践することで、比較的簡単に乗り越えることが可能です。
 さらに、新たな記述対象を見つけ出し、自分自身の心の問題の核心に迫ることも可能なのです。

 この節では、ストレス・マネジメントを端緒としたサイストリー記述について、お話ししてきました。
 いかがでしょうか。サイストリー記述が、有効なストレス・マネジメントにもなり得ることがおわかりいただけたでしょうか。

 これで、サイストリー記述についてのお話は、終わりにさせていただきます。あとは、実際にサイストリーを実践していただくだけです。

 それでは次に、サイストリー実践上の注意事項について、詳しくお話ししたいと思います。






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