Psystory

ball 第5節 副次的効果 (コミュニケーション能力・表現力の向上、的確な判断力)



サイストリーの副次的効果
 サイストリー実践の最終目標は、真実の歴史を紡ぎあげることです。
 その目標に向かってサイストリーを実践し続けることで、心身の病気の予防と自由な心の獲得が可能となるのです。

  しかし、サイストリーの効果は、それだけではありません。しばらく実践するだけで、さまざまな副次的効果も現れてきます。

 ここでは、その副次的効果について、お話ししていきたいと思います。
 今から挙げる副次的効果を当初の目的とするのも、一つの入り方です。

 そうしてサイストリーを実践していくうちには、心身の病気の予防と自由な心の獲得という一番の目的も、徐々に達成されていくはずです。



1.コミュニケーション能力の向上
 サイストリーの実践とは、自分自身を言葉によって表現していくことにほかなりません。
 したがって、サイストリーを実践し続けると、自分自身の心の状態を適切な言葉で表現できるようになります。

 こうしたことから、それまで自分自身をうまく表現できなかった人にとっては、コミュニケーション能力が大きく向上するという効果が期待できます。

 また、大脳辺縁系の記憶の意識化によって、苦手意識を持たなくて済むようになり、人間関係の悩みが激減します。
 そのため、それまで避けていた人たちとのコミュニケーションも、円滑にできるようになります。

 さらに、自己蔑視や自己否定の抑圧が解けると、人前で気後れしなくても済むようになります。
 そうして、それまで簡単にはできなかった自己主張が、とても気楽にできるようになります。

 そうしたことをすべて考え合わせると、全体として、コミュニケーション能力の飛躍的な向上が期待できるというわけです。



2.文章表現力の向上
 文章を書くことが苦手だという方は、かなり多いのではないでしょうか。
 たとえば、社内文書一つを書くにしても、必ず誰かの手を煩わさないとできないという人も、よく見かけられます。

 こうした人たちは、自分には文章の才能がないなどと、決めつけてしまっています。
 しかし、実際に自分自身を文章で表現しようとしたことはあるのでしょうか。

 学校の作文や論文は、ほとんどの場合、自分の意志とは無関係に書かされたものです。
 また、書いた文章は必然的に教師が読むことになり、結局は文章がうまいとか下手とか、なんらかの評価の対象とされてしまいます。

 さらに国語のテストでは、「何文字以内で感想を述べよ」といった、非常に窮屈な文章表現を強制されます。
 文章の読解力と表現力を見るためだとされていますが、しっかりと模範解答があり、ほぼその通りでなければ、いい点は取れません。

 こんな不自由きわまりない文章表現ばかり強制され続ければ、よほど表現力に恵まれた人以外は、文章を書くことが嫌いになっても仕方ありません。

 一度文章を書くことが苦痛と結びついてしまえば、みずから進んで文章を書こうとは思わなくなるでしょう。そうなると、文章を書く機会が、ほとんどなくなってしまいます。
 これでは、文章表現力が向上するはずはありません。

 サイストリー実践の神髄であるサイストリー記述では、自分自身を自由に文章で表現していきます。
 誰にも読まれる心配はありませんし、誰からも評価されることもありません。守られた安全な空間のなかで、完全に自由に、のびのびと自分自身を文章で表現していくだけです。

 したがって、それまで文章を書くことが苦痛だと感じていたような人であっても、とても気楽に、サイストリー記述を行えるはずです。
 そうして、サイストリー記述を続けていくうちには、自然と文章表現力が向上し、苦痛を感じなくなるでしょう。

 このことは、この章の第1節で述べたように、単純な原理で説明できます。
 包丁さばきも、パソコンの操作も、文章表現力も、何度も経験を積んでいくうちには、自然と身についてくるものなのです。

 もし、文筆業を目指すのでしたら、サイストリー実践は、筆力向上のための優れた修養方法になるでしょう。



3.キーボード入力が短期間で習得できる
 パソコンの初心者にとって、キーボード入力を習得するというのは、とても大変なことです。

 サイストリーを実践すれば、思い浮かんできたことを次から次へと入力する必要に迫られます。
 確かに、最初はイライラすることが多いでしょう。
 それでも、思い浮かんできたことをキーボードを通して入力していくという作業は、単純でもあり、比較的集中しやすいものです。

 さらに、心身の病気の予防と自由な心の獲得という目的意識がハッキリしているため、なおさら集中しやすくなるでしょう。
 したがって、しばらくのあいだサイストリーを実践していけば、自然とキーボード入力が身についてくるはずです。

 キーボード入力を習得するために、専用のソフトを使うという手もありますが、やはりハッキリした目的があった方が、はるかに速く習得できると思います。



4.いつでも的確な判断を下すことができる
 サイストリーを実践すると、正体不明の怒りや不安、恐怖、悲しみなどの情動発生から自由になることができます。
 そのため、いつでも大脳新皮質、特に前頭前野の活性が安定した状態になります。

 前頭前野の活性が安定していれば、その高度な情報処理能力を充分に活用できるようになります。
 したがって、いつでも的確な判断が下せるというわけです。

 このことの意義は、とても大きいと言えます。
 たとえば、悪質な商法にだまされることも、感情に振り回されて取り返しのつかないことをしてしまうことも、ほとんどなくなります。
 つまり、馬鹿げたムダな行動がなくなって、どんなことでも、非常に効率よくこなせるようになるわけです。

 そうなると、自分自身の行動に不確定要素がなくなってきて、自分自身を信頼できるようになります。
 もっと簡単に言えば、自信が持てるようになるのです。

 そうしてさらに、自分自身の判断に対して信頼感が増すことになり、自分自身をより肯定的にとらえられるようになります。
 充実していて心から満足のいく人生というのは、こうした自分自身の存在の肯定からできあがっていくものだと考えられます。
 サイストリーの実践は、それを可能にしてくれるのです。



5.ストレスと疲労感の減少
 ストレスの本質は、第1章第3節でお話ししたとおり、大脳辺縁系が五感からの刺激を危機的状況だと判断し、脳を含めた身体全体を戦うか逃げるかの状態にすることです。

 しかし、何度もお話ししたように、大脳辺縁系の判断の根拠となる記憶は、断片的で短絡的です。
 そのため、全然必要のない場面であっても、危機的状況だと判断してストレスを発生してしまいます。

 実際に戦うか逃げるかすれば、ストレスは発散されますが、最初から必要ない場面で起こってしまった場合、それは不可能です。
 そうなると今度は、前頭前野を中心にした前頭葉全体で、ストレスを無理矢理押さえ込まなくてはならなくなります。

 そうでなくても、ストレスが発生している状態というのは、第1章第3節でお話ししたとおり、たくさんのエネルギーを消耗します。
 そのような状態が長く続く上に、さらにそのストレスを押さえつけるために、さらに大量のエネルギーが必要になるわけです。

 これが葛藤であり、疲労感の一番の原因だと考えられます。

 サイストリーの実践によって、大脳辺縁系の記憶が減少してくると、危機的状況だという判断も減少します。
 つまり、ストレスの発生自体が減少するのです。当然、葛藤も減少し、疲労感も減少してきます。

 したがって、サイストリーをしばらく実践し続ければ、ストレスも疲労感も減少するわけです。

 さらに、それまでストレス発散のために行っていたさまざまな行動も、必要なくなってきます。
 たとえば、過度のギャンブルや飲み歩きなどの問題行動もなくなってきて、健康的で建設的な人生を歩めるようになります。



6.誘惑や勧誘に流されない
 現代社会に生きていると、さまざまな誘惑や勧誘に悩まされることがあります。
 少しでも油断していると、いつの間にか財産を奪われたり、家庭が崩壊したり、借金地獄に陥ったり、あげくは犯罪に手を染めてしまうなどということにもなりかねません。

 大脳辺縁系の記憶のせいで偽りの歴史を作り上げ、それを存在の根拠としていると、存在が希薄化してきます。
 この存在の希薄化とは、別の言葉でいえば、自分自身の一部が他者に分解しているということです。

 この他者の部分は、絶えず偽りの歴史をおびやかし続けます。
 そのせいで、自分自身の存在が不安定になってしまい、なにが自分自身にとって本当に価値あるものなのか、わからなくなってしまいます。

 たとえば、家庭を持つ会社員が、子供と過ごす時間が大切だと考え、帰宅時間を早めようと決心したとします。

 ところが、存在が不安定だと、上司に飲みに行こうと誘われたりすると、すぐに先ほどの決心がぐらついてきます。
 そうして、上司との関係を保つことの方が大切だなどと考えを変えてしまい、あげくは夜遅くまで飲み歩くというようなことになってしまうのです。

 存在が不安定だと、自分自身の確固とした価値観を持てません。どうしても世間一般の価値観とか、まわりの人の価値観に振り回されやすくなってしまいます。
 これが、心の隙と言われているものの正体です。

 誘惑や勧誘というのは、この心の隙を巧みに狙ってきます。
 たとえば、「パソコンや携帯電話は、持っていて当たり前だ」という世間一般の価値観に振り回されて、販売員の勧めるままに買ってしまったという人は、かなり多いのではないでしょうか。

 そうして結局は、パソコンはほこりをかぶったまま、使いもしない携帯電話のために毎月高い基本料金を払い続けるだけ、などということになってしまうのです。

 現在、覚醒剤は大きな社会問題となっていますが、売人たちが覚醒剤を売りつけるときの殺し文句にも、心の隙をつくような表現がちりばめられています。

 たとえば、「みんながやっていることだ」、「ダイエットのためになる」、「疲れがとれて、頭がスッキリする」などは、覚醒剤を打つことは、世間一般の価値観に合致していると思わせるための罠でしょう。
 存在が不安定な人は、このような見せかけの世間一般の価値観にも、簡単に振り回されてしまいます。

 そうして、一度でも覚醒剤に手を出すと、あとは坂道を転げ落ちるばかりです。あげくは覚醒剤中毒になってしまい、一生を棒に振るようなことにもつながってしまいます。

 新興宗教や怪しげなサークルの勧誘も同様です。
 その宗教に入信すること、またはそのサークルに入会することが、いかにも世間一般の価値観に合致していると思わせようとします。
 したがって勧誘の言葉は、覚醒剤を売りつける言葉と酷似しています。

 たとえば、「みんなが入っている」、「悩みがなくなり、気分が楽になる」、「心も体もきれいになる」、「そのうち、世界中の人が入るようになる」などの言葉を見れば、一目瞭然です。
 新興宗教や怪しげなサークルの場合には、最初から犯罪だとわかっている覚醒剤よりも、ずっと騙しやすいでしょう。

 存在が不安定な人というのは、そんな場合の、格好のターゲットになってしまうのです。

 しばらくサイストリーを実践して、ある程度真実の歴史を紡ぎあげることができれば、存在の不安定さはかなり軽減してきます。
 したがって、心の隙もなくなってきて、誘惑や勧誘に流されなくなるわけです。



 これ以外にも、多くの副次的効果が期待できます。

 たとえば、ストレスの減少は、免疫機能の強化または正常化を促します。
 したがって、現在なんらかの身体の病気に苦しんでいる人にとっては、症状の改善さえも期待できるかもしれません。
 また、ハッキリとした症状の改善がなかったとしても、病気と闘うための強固な精神力を得ることができるでしょう。

 今後の進路に悩んでいる人は、サイストリーを実践することで、大きなヒントを得ることができるでしょう。
 真実の歴史を紡ぎあげることで、自分自身のアイデンティティが明確になり、自分がなにを望んでいるかがハッキリと認識できるようになるからです。

 サイストリーをしばらく実践すれば、前頭前野の優れた情報処理能力を充分に活用できるようになります。

 したがって、さまざまな悩みや苦しみも、現在抱えている問題も、それまで思いもつかなかったような視点から見つめ直すことができ、もっとも合理的な解決策を見つけ出せるようになるでしょう。






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